米国株
CPI ▶インフレピークアウトの兆候で株価上昇へ
コア・総合ともに市場予想を下回る(予想からの振れ幅は6月以降で最大)
総合は、6月の9.1%を頂点に4か月連続の伸び率鈍化
米国株式市場が待ち望んだインフレピークアウトの兆候になりえる数値
日時 | 時間 | 指標 | 前回 | 市場予想 | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
11月10日(水) | 22:30 | 米CPI(消費者物価指数) | 8.2% | 8.0% | 7.7% |
11月10日(水) | 22:30 | 米CPI(消費者物価指数)コア | 6.6% | 6.6% | 6.3% |
予想を超える伸び率の鈍化で、40年ぶりと言われたインフレにやっとピークアウトの兆候が数値として現れました。
米国株式市場が待ち望んでいた展開に、米国株・金(Gold)は急騰、金利・DXY・ドル円は急落。
その振れ幅もコロナショック直後に次ぐ数値に(後述)。
銘柄 | 終値 | 騰落率 | 銘柄 | 終値 | 騰落率 |
---|---|---|---|---|---|
米10年債 | 3.850% | -7.52% | ダウ | 33,746 | +4.29% |
DXY | 106.416 | -3.95% | SP500 | 3,992.92 | +5.90% |
ドル円 | 138.751 | -5.39% | NASDAQ | 11,817.01 | +9.44% |
VIX | 22.52 | -4.29% | 金(Gold) | 1,771.295 | +5.38% |
原油 | 89.130 | -4.17% | BTC | 17,060.58 | -18.39% |
但し、「インフレがピークアウトした」訳ではなく、「その兆候が数字に現れた」程度です。
市場が過度に楽観的になると、またパウエル議長に戒められることになりますので、ご注意を。
金利見通し ▶次回FOMCは50bpが優勢
FedWatchツールでも、12月FOMCは50bp利上げが83.0%と大幅に上昇。
ターミナルレート(来年の最大金利)も一段下がり、4.75-5.00%が大方の見方に。
12月FOMCまでに他の指数でもインフレピークアウトの兆候が感じ取れれば、大幅な金利の上昇はここまでとして、次のステージ(緩やかに金利を上げていく)に移行していくようです。
米国債利回り▶US10Yが急落、US03Mと明確な逆イールドに
*US02Yは2年利回り、US03Mは3ヵ月利回りのこと。
US10Y(米国債10年利回り)もCPIの結果を受けて急落。
US03Mとの逆イールドが深くなりました。
「US10YとUS03Mの逆イールドが発生すると、そこが株価の底値付近」と言われています。
今回も同様の現象となるのか?(現時点では当たりそうにみえる)
為替 ▶ドル円はバブル頂点のチャートがより鮮明に
DXY・ドル円が急落し、ユーロドルもパリティを一気にブレイク。
CPI発表前は、146円だったドル円は同日終値で140円まで6円の下落。
為替介入があったとされる日(9/22:-1.22%、10/21:-1.65%)よりも大きい記録的な円高(-3.72%/1日)に。
インフレピークアウトの兆候が見られたことで、ドル高の構造となっていた通貨の金利差に目途がつきそうです。
今後は、中期でドル高が落ち着いていくと市場は見ています。
週足で発生していた弱気ダイバージェンスがあたりとなり、天井をつけてからの急落。
典型的なバブル頂点のチャートとなりました。
そのまま週足で並行チャネルを実体で下抜けしており、週足雲付近まで段階的に調整に向かいそうです。
主要株価指数 ▶ダウが下落トレンドを実体でブレイク!!
CPIの結果を受けて急騰。
他の指数に先行して、ついにダウが2021年11月から続いた下落トレンドを実体でブレイク。
Wボトムを形成する($35,000をブレイク)とさらに上を目指せる。
GAFAMに勢いがないNASDAQも、CPIの勢いで底を試す前に大陽線へ。
全指数とも、先週同様に底値を守っている限りは、下落トレンドラインのブレイクを目指して上目線に変更なし。
まだ警戒せねばなりませんが、市場から明らかな相場の転換気配を感じます。
NASDAQ ▶底を試す前に+7.49%の急上昇!!
6月の底を試しそうな気配がありましたが、CPIを受けて大陽線に。続く11月11日(金)も続伸し、上目線への転換を感じさせる展開へ。
NASDAQに勢いが戻るというより、ダウがけん引している相場に連れ高している印象。
基本的な目線に変更はなし。
当面は、下落トレンドのブレイクが目先の目標であり、10月13日の底値を守るうちは上目線。
米国株市場のセンチメントは明るくなったように感じますが、下落トレンドがブレイクできずにもう一度下を向く可能性も視野に入れておきます。
米中間選挙 ▶開票作業が続く、決着はまだつかず
共和党優勢と見られていましたが、開票してみると予想通りにはいかず。
トランプ氏への抵抗が強く、共和党が票を伸ばしきれずに決着がついていません。
現時点で結論付かないほど接戦になっている時点で、民主党の事実上の勝利だと報道する場面も。
やはり、CPIで大きな株価の動きがあったように、現在は「選挙より金利」が株価に影響を与えています。
2020年の大統領選挙の時も同様ですが、日本の選挙と違って、その日のうちに当落の結果が確定しません。
選挙方法の違いによるもの(郵便投票・場合によって再集計を行うケースも)ですが、今回のように1週間以上かかることは珍しい事ではありません。
米国株に投資する上で覚えおきましょう。
来週の主な指数発表
日時 | 時間 | 指標 | 前回 | 市場予想 |
---|---|---|---|---|
11月16日(水) | 22:30 | 小売売上高(前月比) | 0.0% | 0.1% |
11月16日(水) | 22:30 | 小売売上高(前月比)コア | 0.1% | 0.6% |
CPIで見えたインフレピークアウトの兆しは本物なのか?
こちらも確認しておきましょう。
仮想通貨
FTXショック ▶FTXはチャプター11を申請
FTXの親会社アルメダ(代表は両社ともサム氏)のバランスシートがリークされたことに端を発し、テラショック以上の衝撃が走っています。
FTXが破綻か?と報道後、11月12日時点では
- FTXの資産は顧客のデポジットを上回り、FTXの破綻はないと主張
- 他の取引所が「自社に影響はない」と続々表明
- サムCEOがアラメダを閉鎖へ
- FTXがチャプター11を申請、SBF氏はCEOを辞任
と、騒動の結論をつけたがっているように見えますが、もう少しの間、様子を見ないと「悪材料出尽くし」とは考えられません。
teraショックで学びました!!
「チャプター11」は日本の民事再生法に類似し、サービスは継続される可能性が高く、破産ではない。
また、「申請」は書類の提出報道であり、確定ではありません。
あまりにわかりやすくまとまったTwitter。
ニュースでは「破産申請」の文字が踊りますが、正しく認識しましょう。
SEC委員長がFTX騒動に苦言
SECのゲンスラー委員長は「投資家保護の観点から、仮想通貨業界で起こるこのような事をずっと危惧していた」と主張
XRP裁判の横やりとなるのか、FTX騒動の余波がSECの主張を肯定することになるかもしれません。
また、今回のFTX騒動に政治的な思惑が見え隠れする報道も出てきました(確定的な報道はまだありません)。
その場合、余波は仮想通貨市場のみならず、米中間選挙や政治活動に広がる可能性があります。
そのインパクトは計り知れない為、この騒動は着地どころが、未だ全容が把握できていないという認識が良さそうです。
日本の仮想通貨税制改革 ▶分離課税20%を提言
現在は「雑所得」となる日本の仮想通貨税金事情。
株式と同じように20%分離課税となれば、超追い風です。
それ一つでは通しにくい提案も、WEB3やNFT、DAOのスタートアップ支援などと一緒に提言してくれています。
度々、話題に上がりますが、いまだ国会で話が進んだことはありません。
今回はどうでしょうか?もちろん、国内で仮想通貨を所有する身として、提案に賛成派です!!
ビットコイン ▶FTXショックで大混乱
先週、7か月ぶりの日足雲ブレイクで、米国市場より一足先に上昇の兆しが見えたビットコインでしたが、FTXショックで大きく下落。
しかし、CPIを受けて、大きく下に抜けそうだった相場を大陽線で耐え、週足の確定を待っています。
今週の週足確定は非常に重要であり、6月安値($17,600)を実体で守れると週足では調整の範囲で、目線に変更なし($17,600をサポートに週200MAのロールリバーサルを目指す)。
しかし、6月安値を実体で下抜けると、これから一時上昇を迎えそうな米国株についていけない事も想定され、ずるずると次の半減期まで低空飛行を続けることも視野に。
その場合は、$12,000を中間点として$8,000付近まで下落しても不思議はありません。
(インフレピークアウトの上昇相場) VS (FTX騒動による下落相場)
どちらにトレンドが向いていくのか下に$8,000まで指値を入れて、見届けます。
Bitcoin Rainbow Chart ▶BTCは「バーゲンセール」なのか!?
本サイトのイメージにも採用しているBitcoinRainbowChartがついに「青:FireSale!」を割り込んできました。
歴史上はじめてのことであり、長期では二度とこない買い場である可能性が高いです。
しかし、大きく下抜けした場合は、「BitcoinRainbowChart」という理論事態が崩壊する可能性もありますので、ご注意を。
アルトコイン ▶FTXショックから反発できたのはBNB、MATIC、CHZ
グループ | 数 | 占有率 | 主な銘柄 |
---|---|---|---|
日200MAブレイク | 7種 | 7.44% | BNB、CHZ、MATICなど |
日足雲ブレイク | 0種 | 0.00% | |
日足雲内 or 下 | 87種 | 92.56% | BTC、ETHなど |
ビットコイン同様、先週の明るかった市場センチメントは、FTXショックで一変。
ほとんどのコインが日足雲をした下抜けして、また仕切り直しとなりました。
CPIの結果を受けて、大きく戻せたコインは、BNB、MATIC、CHZ。
この3種のみが、まだ日200MAを守っており、6月からの上昇トレンドを崩していません。
この3種類とビットコインの動向を見守っていきますが、FTX騒動がどうなっていくのか?もう少し様子を見ないとアルト市場は危険すぎて、今から手を出すことはできません。
引き続き、今は「ビットコイン」と「金利」に注目して、DXYや米国株、アルトとの相関性を確認していきます。
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